スキー・スノーボードは身体のバランスをコントロールしながら行う運動であり、常に転倒のリスクがつきまとうスポーツです。また、個々の決められたレーンがあるわけでもなく大勢の人々が同時に動いて走行できるというフィールド(ゲレンデ)の特性上、他者との衝突も大きなリスクとして挙げられるでしょう。その他、滑走技術不足による障害物(立ち木やリフトの支柱など)への衝突もケガをする要因の一つです。
スキー場では、コンタクトスポーツにありがちなケガが多く発生します。
- 骨折
スキーヤーでは下肢の骨折が多く発生する傾向にあります。転倒した際あらぬ方向に脚が捻られてしまい、特に下腿部に損傷を受けます。過度に捻られた場合は螺旋状骨折になる場合があります。また、スキーブーツの上部の辺り(脛骨=すねの骨 近位1/3辺り)で折れることもあります。
スノーボードでは手首周辺の骨折が多発します。転倒した際に手を雪面に着いた衝撃で骨折します。専門的な傷病名としてはコーレス骨折です。同じく、転倒した際に手を着くことから手根骨の骨折(月状骨など)も時々見られます。
その他、肩からの転倒で発生する鎖骨骨折や、障害物に接触して起こる肋骨部の骨折などもスキー場でよく見られます。
- 脱臼
比較的多いケガとして脱臼が挙げられます。ほとんどが肩関節の(前方)脱臼です。肩の脱臼はスキーヤー、スノーボーダー両方に見られますが、肘関節脱臼はスノーボーダーの発生が多いような印象です。
肩鎖関節脱臼も少なくありません。肩甲骨と鎖骨を繋ぐ靭帯が切れてしまい、上肢の挙上(腕を上に挙げる動作)が不能になります。
- 打撲
いわゆる「打ち身」です。どこかにぶつけたとか接触した際に起こります。皮下出血(内出血やいわゆる青タン)が発現します。場合によっては異様に腫れてくることもあります。
- 捻挫
捻挫は下腿部に発生することが多いです。一般的な陸上スポーツでは足首での発生が多いのですが、スキーやスノーボードではブーツのような比較的硬い素材で足首がガードされていることもあってか足首周辺の捻挫は意外と少な目かも知れません。頻発するのは膝です。スキーヤー、スノーボーダー共に転倒時に膝が捻られて靭帯が損傷し、歩けなくなるというケースが非常に多いです。また、膝の十字靭帯を損傷するケースもよく見られます。
手首の捻挫も多数発生します。即座に腫れてくることもあるので、骨折との判別が難しいこともあります。
- 切創
切り傷です。スキー、スノーボードには板にエッヂという刃物に近い金具が装着されています。転倒の際や、他者との接触の際にエッヂが身体に当たり出血します。上級者など道具の手入れが行き届いている方の板は滑走性能を上げる為に鋭くエッヂが研がれているので、万が一接触などすると大きなケガに繋がります。
余談ですが、大量に出血していても意外と本人は静かで冷静だったりすることが多いのですが、一緒のお連れさんたちのほうが血の海を見てパニックになることが少なくありません。
- 頭部外傷(脳震盪・脳挫傷)
頭部を打ち付けることによる脳損傷も多々見られます。衝撃が高いと意識を失います。現場に到着した時にいびきをかいている時もあり、ケガの中でも重篤な部類に入ります。意識が戻らない時は当然のことながら救急要請をかけ、場合によってはドクターヘリが来ることも珍しくありません。
主なものをいくつか挙げましたが、基本的にスポーツ外傷と呼ばれるものはほぼ全て発生します。